内田篤人から読む逞しさ…日本5度目のW杯出場なるか/ヨルダン戦

 香川真司が「チームとしては早くワールドカップ出場を決めたいという思いがある。早く決めて次への準備をしたい」と意気込む一方、内田篤人は「日本がカウンターを狙っても面白いと思う」と語り、今野泰幸は「何が何でも決めたい」と決意を明かした。並べてみると、なるほど個性を感じる。

 日本代表は、26日に行われるブラジル・ワールドカップのアジア最終予選でヨルダン代表と敵地で対戦する。勝利を収めれば文句なしで本大会出場権を獲得する大一番を控えていることもあり、代表メンバー発表時から「できるだけ早く決めたい」と語っていたアルベルト・ザッケローニ監督をはじめ、選手たちからも、ヨルダン戦へ向けたコメントには強い決意が表れていた。

 勝てば5度目の本大会出場が決まる重要な一戦なだけあって、ヨルダン戦はかなりの注目を集めている。ザッケローニ監督は「国民の期待が大きいことは分かっている」と語るが、勝利を求められるプレッシャーは想像を絶するものだろう。監督や選手がヨルダン戦での出場権獲得について、口を揃えるのも当然とも言える。

 同時に、途方も無い重圧がかかる中だからこそ、内田のコメントが際立つ。他とは毛色の異なった発言だが、大いなる頼もしさを感じたのではないか。本人のキャラクターもあるとは思うが、前述のコメントとともに「ヨルダンのようにボールを持ったことのないチームに持たせたら意外にバタバタする」という弁には、大一番の戦いを前にしても余裕としたたかさ、そして自信を持ち合わせていることが十分に伝わる。「アウェーでがっつり日本のペースになるわけではない」という前提も口にして、ヨルダンへの警戒を忘れていないことも、その思いを更に強くさせはしないか。

 そして逆説的になるが、内田が冷静に発言している状況から、チーム自体が内田の醸し出す余裕を持っていることも想像がつく。全体が切羽詰まった状況だとするならば、勝利に対するコメントは並んだとしても、相手の状況を逆手に取るような発言が選手から出てくることはないだろう。おそらく、大きなプレッシャーこそ感じているものの、それが後のない瀬戸際から生じる重圧でないことはしっかりと理解し、グループで首位を走っている有利性をチーム全体で共有できているのだろう。

 決戦を前にして、周囲は本田圭佑長友佑都の欠場から生じた選手起用の論争で持ちきりとなった。直前に実施されたカナダ戦での辛勝で議論はさらに熱を帯びたが、周りが過熱する一方で、チームはブレることなくヨルダン戦に照準を合わせていたと言える。実際に、大きな期待や重圧をも受け止めるだけの逞しさはしっかりと備わっているのだろう。

「選手が作ってくれた雰囲気を考えると今回もやってくれるのではないか」

 ザッケローニ監督の言葉が、全ての思いを代弁してくれている。